4月度映画鑑賞レビュー
4月は3本しか見なかったですが、
アカデミー賞絡みの良い映画を観れました。
ビール・ストリートの恋人たち ★★★★
オリジナル・サウンドトラック『ビール・ストリートの恋人たち』
- アーティスト: ニコラス・ブリテル,Nicholas Britell
- 出版社/メーカー: ランブリング・レコーズ
- 発売日: 2019/02/20
- メディア: CD
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ラブストーリーとしての美しさと
黒人差別に対する痛みとが
絶妙なバランスで流れるように描かれた映画。
この監督の映画は綺麗だ。
興味深かったことのひとつのはティッシュの家族が義理の息子、
になる予定のファニーに対して見せる愛情と行動。
僕は何度か西洋人は義理の息子や娘はあくまで他人であって、
何かあれば完全に無視できるという考え方があるのだ、
と映画を見て思っていたのだけど、この家族はそうではなかった点。
この点と白人アメリカ人以外が二人を守る描写と、
(アメリカ白人でない人が何人か出てくるのだけど、
アメリカでマイノリティとして生きてるんだな、と。特にユダヤの彼は素敵過ぎる。)
結局ハッピーエンドではないのだけど、
ラストのシーンは愛に包まれていたところが救われた。
if bealestreet could talk
という原題、最後に出てくるんだけど、その出し方、すごく上手いね。
いろんなことを語れるのだからね。
ムーンライトのような胸を締め付けるような痛みはないけど
グリーンブックでもブラッククランズマンでもなく
今年度のアカデミー賞の論争の答えはこの映画ではないかとも思った。
この映画の原作者の小説は、なかなか映画化することが難しい、
原作者の権利者(親族でしょうかね?)がかなり大きなハードルとなっているらしいが、
この監督には許可が下りたと、それも納得できるかな。
ROMA ★★★
エンタメ性は無いですが、
割りと長い映画で、そんなに凄い展開というわけでもなく
どちらかと言えば淡々と…白黒だし…流れていくんだけど、
意外と長いとは感じなかったかな。
時代錯誤かもしれないけど、女は強し、男は勝手だなぁ、と。
最後の海のシーンは怖かったな、
そんで彼女がぽろっと本音を出してしまうところ、泣きそうになった。
途中、彼女の行動で気になってた事があったんだけど
そうだったからなのね…と。
間というのか、オープニングからして時間をたっぷり使ってる感じ。
ひとつひとつのシーンが丁寧でなんとなく入り込んでる感じがした。
どことなく昔の日本映画の様な雰囲気もあり。
大人の映画。こういう映画もたまにはいいのではないかな。
バイス ★★★
第4の壁越えまくり、
あんな序盤にエンドロール!を差し込むというかなりポップな作り。
テンポ良く非常に面白かった。
そんなポップな作りとは反して内容はダーク過ぎる。
自分達の権力をどう使うか、どういう人間を配置すれば(倫理に反していても)
物事を上手く進められるかというゲームのような政治。
(本当はどう思ってるか知らないけど)
それが正義であり世界一強大な国と信じて奢ってるのが痛々しいよ。
やはり組織の鍵は副将で決まる、というのは事実か。
既に事の顛末は世界中の人が知ってることなので、
ごちゃごちゃしてるけど展開は分かるので、
それに突き進む様子が滑稽で、でも力を持ってるだけに恐ろしい。
途中で挟まれたばか笑いのシーンは多分それを笑ってるんだけど、
結果は笑い事じゃないよね。
究極に当時の大統領、政権をこき下ろしているんだけど(しかもまだ生きてる)、
こんな映画を作れるなんてアメリカはやはり凄い。
そこんところは意識が高いことが分かるね。
ハリウッドではこういう映画よくあるけど、
日本にこういうのあったっけ?って。
忖度して作らない作れない作らせない、でしょ。
映画とかメディアの意義って、
エンタメだけでなく、こういうとこにもあると思うんだよね。
しかし、若い頃はともかく、クリスチャンベイルの面影なし。
ここまでいくと、もう俳優じゃなくていいんじゃないのって思っちゃうよね、
CGかAIのロボットでいいんじゃないの?って。
似せるのもいいけど、俳優の顔で演じるのもいいと思うよ。